この本は私がメディアから受けている世界の動向のマイナスイメージをくつがえしてしてくれました。
新聞やテレビなどのメディアからは日々、世界では大きな問題が起きており、あたかも悪い方向へ向かっているとの印象を受けさせられます。
しかし、それは様々なデーターから見ると正しくない考え方であり、世界はみなが思っているよりもずっと良い方向へ進んでいるとのことが本書では書かれています。
例えばアフリカでは社会の発展が欧米に比べ遅く、衣食住などに関わる様々なことが問題となっている印象を我々の多くは持っていることでしょう。
ただし、それは正しくはないというのです。
現在のアフリカでは経済も発展してきており、一昔前の民族や部族で暮らしているイメージではなく、多くの人間が都市で暮らし、そこでは欧米の人間と比べても遜色ない生活をしています。
ワクチンの接種率も上がり、多くの子供の命が救われるようになりました。
かつては多くの子供を産み、多くの子供が感染症や栄養失調で亡くなっていましたが、そのような話は過去の話になりつつあります。
まだ欧米諸国ほどではないにしろ、現代では失われる子供の命も減少してきており、社会はいい方向へと向かって進んでいるのです。
しかし、先進国で暮らしている人はあまりそのような印象はなく。アフリカは相変わらず貧困で子供が亡くなることが多い地域として印象付けられています。
それはなぜなのか。
この本ではそれはメディアの影響が大きいと言っています。
先にも書いたように、メディアは日々悪いニュースをクローズアップして報道します。
それが数十年前よりも全体としていい方向に行っていても、悪いニュースの件数が少なくなってきているのに関わらず、その一つのニュースによって、世間は世の中は悪い方向へ向かっているのだという印象を受けてしまいます。
ただし、メディアも悪いわけではなく、メディアを煽っている民衆、強いては自分たち自身がそれらのニュースを期待していることが、問題であるとのことです。
この本に書いていることは日本にも当てはまるように感じます。
日本でも、メディアでは日々殺人事件や子供が事故で亡くなるニュースが連日流れておりますが、
数十年前から比較していくと、殺人事件の件数は減っており、事故で子供が亡くなる数もへってきているのです。
これは、メディアは不安をあおる機関でことが一つの原因であるかと考えます。
極端な事件にフォーカスして記事を書き、それに読者者や視聴者が飛びつくように促しているのです。
心理学的にも人間はいいニュースより悪いニュースの方が飛びつきやすいとの研究もあるそうです。
その効果を期待して、新聞の販売部数やテレビの視聴率をとることを目的としているのではないでしょうか。
メディアはもっといいニュースにも目を向けてより発信していく必要があるべきではないでしょうか。
それにより、より多くの人たちに世の中は決して悪くない、むしろいい方向へ向かっている。
そして、それはデータが示しており、希望ではなく事実であることを積極的に伝えていくべきです。
ただし、実際にメディアが煽った悪いニュースに惹かれて新聞を買ったり、テレビをみたりしているのは我々です。
なのでメディアがばかりを悪く言うのもおかしな話となってしまいます。
とうぜん、我々にも問題の責任はあります。
我々自身が意識的にいいニュースに目を向けて、いい記事が載っている新聞や雑誌、ニュースなどを見て、メディアが不安をあおることをしないような文化が育ってほしいです。
そういう文化が育てばメディアも悪いニュースばかりでなく、いいニュースも流してくれることでしょう。